導入後のクレームやギャップ
社内ITシステムの入れ替えや新規導入後に、「どれを見たらよいかわからない」というマニュアルに関連したクレームや、「思ってたのと違う!」というビジュアルや使い勝手のギャップが発生するのは何故でしょうか。
これらは、機能も処理スピードも向上しているのにもかかわらず、直感的に操作できず時間が掛かるといった「アフォーダンス」を取り入れていないことが要因と考えられます。
アフォーダンスとは
「アフォーダンス(affordance)」とは、アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる生態光学・生態心理学の概念で、「与える・提供する」という意味の言葉「アフォード(afford)」からの造語のことです。
しかし近年では、認知科学者ドナルド・ノーマンの「人をある行為に誘導するためのヒントを示すこと」という文脈が多く用いられています。例えば、車のドアにハンドルが付いていれば、ハンドルを引くことを示しており、引き手がついている収納であれば、引き手を引くことを示しています。また、スマートフォンのアプリもアイコンをタップするだけで起動することを示しています。
つまり、モノのカタチで使い方のヒントが得られるという考え方がアフォーダンスということになります。
何故クレームが起こるのか
「使いにくく効率が上がらない」や「マニュアルのどこを見ればいいのかわからない」などシステムを利用している部署から運用のことだけではなく、「見た目」や「操作方法」の問い合わせも数多く上がってきがちです。これらのクレームは、例えば以下のような要因があげられます。
十分な説明を受けていない
アイティクラウド株式会社の調査によると、導入の際、利用者に十分な説明があったかの結果を見ると「説明を受けていない」の回答が74%もあり、利用者のほとんどが事前に十分な説明を受けていないと感じていたことがわかります。また説明を受けていない利用者の中で満足している人はたったの60.1%という結果です。
重視するものが部署間で異なる
さらに、株式会社ビーブレイクシステムズの調査によると、総務・経理・法務では最も重視するものとして「使い勝手・見た目の良さ」をあげており、約24%(全体平均19%)と高いことがわかります。
導入前に、決定・導入担当(部署)者は利用(部署)者とコミュニケーションをしっかり取り、価格や機能だけではなく、例えばどこに何のボタンを配置すれば押してくれるのかという行動のヒント、つまり「アフォーダンス」も意識しておくことが重要です。
アフォーダンス=DX推進
アフォーダンスを意識したシステムを社内に展開すると、時間短縮や業務の効率化が向上するだけではなく、レガシーシステムからの移行も可能となるので、企業のレガシー文化からも脱却できるという本来のDX化の可能性が広がります。
ぜひアフォーダンスの思考を取り入れて見てください。
アイティクラウド株式会社調べ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000033567.html
株式会社ビーブレイクシステムズ調べ
https://work-pj.net/archives/6487