
レッドハットとEDBが語る、今求められるAIプラットフォームとデータベース戦略
現代において、AIへの投資は世界中でかつてないほど加熱しています。特にIT企業では、AI技術の導入と活用が喫緊の課題となっていますが、多くの企業がPOC段階で留まり、本番環境への移行に課題を感じています。クラウドサービスの利用が主流となる一方で、機密性の高いデータを扱う本番環境では、オンプレミスを含む自社で管理・運用可能な環境への注目が高まっています。
本ウェビナーでは、こうした市場の変化に対応するため、最先端の情報をお届けしました。
講師紹介

レッドハット株式会社 上田 尚人 氏
講演概要: AI Readyなアプリケーション開発は喫緊の課題ですが、目まぐるしく変化するAIツールの評価に時間を費やしていませんか? OpenShift AIは、この課題を解決し、アプリケーションとAIの世界を繋ぐ最適な開発プラットフォームです。コミュニティの最新ツールに翻弄されることなく、タイムリーにAIアプリケーションをデプロイし、ビジネス価値を最大化する方法をご紹介します。

エンタープライズDB株式会社 村川 了 氏
講演概要:エンタープライズDBは、PostgreSQLをベースに高度な機能とサポートを提供し、企業・行政基盤を支援してきました。「ソブリンAI」が注目される一方、開発・管理・運用に懸念もあるでないでしょうか?本セッションでは、その実現に向けたEDBのセキュアで柔軟なエントリーモデルを紹介します。
レッドハット上田様講演:『AIプラットフォームで迷わない オープンシフトAIの狙いとは』
AIプラットフォームで迷わない OpenShift AIの狙い
レッドハットの上田様からは、同社のAIプラットフォーム製品「Red Hat OpenShift AI」について詳細な解説がありました。
CTOのクリス・ライト氏が提唱する「数千のアプリケーション開発とAIモデルが共存する世界」というメッセージが示すように、従来のアプリケーションとAIモデルをいかに効率的に組み合わせ、価値あるAIアプリケーションとして提供するかが、これからのビジネス成功の鍵となります。
OpenShift AIは、AI開発・運用における多岐にわたる課題を解決します。特に、高価なGPUアクセラレーターの効率的な管理、POCから本番環境へのスムーズな移行、そして多様なAIモデルやツールが乱立する中で生じるプラットフォーム構築の複雑さを解消します。
OpenShift AIの主要な特長
- どこでも一貫した体験: OpenShiftを基盤とすることで、クラウドでもオンプレミスでも、環境の違いを意識することなく一貫性のあるAIプラットフォームを提供。
- 多様なハードウェア対応: NVIDIA、Intel、AMDなど、主要なハードウェアベンダーのGPUアクセラレーターに幅広く対応し、ユーザーに最適な選択肢を提供。
- 最新技術の迅速な統合: レッドハットのAI専門チームがコミュニティの最新動向を常時監視し、有望なOSS(オープンソースソフトウェア)を迅速に製品に取り込み、ユーザーのツール選定の負担を軽減。
- 強力な推論エンジン: 2025年5月に発表された「AI Inference Server (vLLM)」は、様々なAIモデルの効率的な推論を可能にし、大規模言語モデル(LLM)の高速実行をサポート。将来的には複数サーバーでのLLM推論を効率化する「LLMDコミュニティ」の製品化も予定されています。

OpenShift AIは、ユーザーがAIアプリケーション開発に集中できるよう、基盤となるインフラからAIモデルの運用まで、幅広いフェーズを強力にサポートします。
エンタープライズDB村川様講演:『ソブリンAIで実現に向けたEDBのセキュアで柔軟なPostgres AIプラットフォーム』
EDB AI:データ主権と柔軟性を実現するAIレディなデータベース
エンタープライズDBの村川様からは、「EDB AIプラットフォームとソブリンAI」と題し、同社の最近のリブランディングとAIへの取り組み、ソブリンAIに向けたソリューションについて説明がありました。
リブランディングとロゴ変更: 6月17日(日本時間)にEDB AIのリブランディングが発表され、ロゴが変更されました。この発表は、AIよりもアナリティクス領域でのオンプレミス選択肢の増加という印象を与えた、とのことです。
チャットボットの例とEDBの役割: チャットボットの仕組みを例に、知識の蓄積(既存データからのデータ作成)、データ検索(AIデータストアとベクトルデータベースによるベクトル変換)、そして質問への回答生成(LLM連携)のプロセスが示されました。EDBは、この中で特にデータのベクトル化やナレッジベースの構築、LLMとの連携部分を担っていると説明されました。

ソブリンAIの7つの項目: EDBがソブリンAIとして提供する項目として、以下の7つが挙げられました。
- データの主権性(国内でのデータ管理)
- モデル開発・運用の独立性(自社でのモデル開発・運用)
- インフラの自律性(国内データセンターやホスティングサイトの利用)
- アルゴリズム・ソフトウェアの透明性・管理性
- 法律・倫理管理の主権性
- セキュリティ・プライバシーの確保(データ暗号化など)
- 人材・専門知識の国内充実
特に「人材・専門知識の国内充実」については、AI Factoryを活用しながら人材を育成していくアプローチが提案されました。
EDBの製品とOpenShift AIとの連携: EDBは、ハイブリッドマネジメントやAIモデル連携(KServe、NVIDIA NIMなど)を通じて、ソブリンAIを実現しようとしています。特にAI Factoryは、オブジェクトストレージに置かれた画像、PDF、テキストファイルなどの「教科書データ」からナレッジベースを構築し、様々なLLMと連携してユーザーからの問い合わせに回答するシステムを容易に構築できると説明されました。
今後のAI戦略のために
本ウェビナーでご紹介したRed Hat OpenShift AIとEDB AIは、いずれもOpenShiftをベースとしており、今後のAI戦略において非常に重要な技術となるでしょう。
AI技術は日々進化しており、国内事例も増えつつあります。待つだけでなく、まずはPOCからでも取り組みを始めることが重要です。レッドハットとEDBは、皆様のAI導入を強力にサポートする体制を整えています。
本ウェビナーは、AI戦略の次の一手を考える皆様にとって、貴重な情報源となるはずです。ぜひオンデマンド配信でご視聴いただき、貴社のAI戦略の参考にしてください。